【教材としての映画 ①】六千人の命のビザ
私はこれで「杉原千畝」を知りました。
この作品も大変素晴らしいのですが、今回はこちらの「杉原千畝」をご紹介します。
2005年。2時間ドラマとして放送されたのがこの作品です。
それまで教科書や資料集のどこにも彼の名前はありませんでした。
終戦60周年を記念したこの放送で、当時高校生だった私は、初めて「杉原千畝」という人物と彼が行った人道的行いを知ることになるのです。
第二次世界大戦。ナチスドイツに迫害されたユダヤ人たちを救うべく、独断でビザを発行し続けた人物です。
彼は終戦後、外交官としてはあるまじき命令に背いた行為をしたということで、依願免官を余儀なくされます。事実上のクビです。
1968年、当時ビザを提供したユダヤ人が日本に杉原を訪ねてきたことをきっかけに、1985年、イスラエルから表彰を受けたことで彼の素晴らしい行いが「世界で」認められることになります。
日本で名誉が回復したのは2000年のこと。彼が亡くなってから約20年後のことです。当時の外務大臣が奥さんである幸子さんに謝罪。
現在、外務省には杉原の功績を讃えるプレートが飾られています。
この反町版ドラマは、その名誉回復から間もなくして作られた作品ということになるので、なるほど、私の学生時代に話題にならないわけです。
現在では、社会の教科書、資料集のみならず英語の教科書、道徳でも題材になっている杉原千畝。
今なお、紛争はなくならず、ましてやウクライナ問題が勃発し、避難民が大勢ヨーロッパなど各地に避難している状況の今だからこそ、外務省、組織、国家公務員、命令・指示といった、様々な障壁に対し、個人の判断で行動すべきではない極限の状態で、命を最優先にビザを発行した杉原千畝の生き様や思いを、この題材から学びたいところです。
唐沢版、反町版、どちらも見ごたえあります。
社会のみならず、道徳でも絶対によい教材になるはずです。
【教材としてのマンガ ①】ゴールデン・カムイ
アイヌ文化がこんなにも面白く且つ詳細に描かれているマンガが過去あっただろうか?!
教材としてのマンガシリーズ第一弾は、アニメも絶好調の中、先日最終話が発売され、映画化も決定した、野田サトル氏の「ゴールデン・カムイ」です。
舞台は気高き北の大地・北海道。時代は、激動の明治後期。
日露戦争という死線を潜り抜け『不死身の杉元』という異名を持った元兵士・杉元 は、ある目的の為に大金を欲していた…。
一攫千金を目指しゴールドラッシュに湧いた北海道へ足を踏み入れた杉元を待っていたのは、網走監獄の死刑囚達が隠した莫大な埋蔵金への手掛かりだった!!?
雄大で圧倒的な大自然! VS凶悪な死刑囚!!
そして、純真無垢なアイヌの少女・アシリパとの出逢い!!!
莫大な黄金を巡る生存競争サバイバルが幕を開けるッ!!!!
- ゴールデンカムイ 公式サイトより引用ー
私とゴールデンカムイの出会いは、まさに書店の立ち読みですよ。
さらに、興味津々で放送中のアニメを見たら、まぁこれが面白い!日露戦争後の時代設定を中心に、北海道開拓時代の情景、人々の生活をとてもよく描いており、なによりキャラクターがとてもキャラ立ちしていて飽きない!
そして、最大の魅力は、アシリパちゃんをはじめとするアイヌの人々の生活、狩り、食、衣服、習慣は本当によく研究されていて、社会科的視点でもよい教材のように感じます。
ただ、ギャクもあって笑えるところがあるのは間違いないのですが、さすが青年誌。戦闘シーンや拷問シーン、動物に襲われるシーンはなかなかのビジュアルです。
エグイ(@_@。
社会科教員をやっていると、戦争物も多く目にするので、耐性はある方かなと思いますが、教材としてすべてを生徒に提供できるかというと難しいですね。
そういうのがダメな人には合わない、好き嫌いが出る内容なので、授業で映像を見せる場合はアイヌ文化の部分のみに限定することをオススメします。
【社会科授業のホンネ】副教材の扱いって難しい
みなさんは、副教材どう扱ってますか?
自分的には、これ結構ずっと考えて、いつもやり方をコロコロ変えています。
なんでもそうですが、やはり出版社によって内容の取扱い、表現の仕方、資料の深さは異なります。なんだかんだ、慣れ親しみもでるので、徐々に同じ会社さんにはなっていくのですが、保護者の方にお金を出していただいてまで、副教材を使い切れているのかというと、なんとも言えません。
一番最近に採用させてもらったのは、「浜島書店」さんの「資料カラー歴史」です。
特に感動したのは、資料集と言うとB4サイズちょい小さ目のサイズが定番のところ、ほぼA4サイズくらいで作成されており、生徒の荷物の負担にもなりにくいという!
いやぁ、画期的だと思いました!即決!!(もちろん、それだけが理由じゃないですよw)
浜島書店さんは内容が充実しており、1冊でお得な感じがするんですよね。
で、話を戻しますがw
副教材を使い切れているのか、有効活用できているのか・・・。永遠のテーマですね。
著作権の問題もあるので、資料集なしで自分で用意するのにも限界があります。
やはりそこは出版社さんに頼るのがベストなのですが、果たして生徒の身になる選択ができているのか・・・。
本当にワガママが通るなら!!!
教員1人1人がカスタマイズできる資料集なんてあったらいいですよね!
年間使用料を払っていれば、生徒も資料を引っ張ってこれるので、レポート作成なんかでも使える!レポートも電子化していくことができますよね。おぉぉ~
ハードル高そうww
教科書、資料集ともに内容が充実している昨今、選択の幅も増えてきていますが、材料をどう使うのか、どう選択するのかは教員次第・・・。
その敏感な感覚だけは常に研ぎ澄ませていきたいですよねぇ。
【思考力を高める!】縄文と弥生の違い
縄文と弥生の比較は、よく授業で扱います。
縄文→狩猟と採集中心
弥生→稲作が開始されたことでの生活の豊かさと争い
この変化が面白いですよね。
私は、この授業を行う際に、オススメしたい絵があります。
本当はこれではなくて、おそらく同じ作者さんの別なものですが・・・
縄文人の生活をよく描いていて、「縄文時代」でおさえておきたいキーワードがすべてつまっています。
一方、弥生時代では
こちらもオススメ。これも縄文と同じ作者さんですよね。タッチ的に。
これも、弥生時代におさえたいキーワードがたくさん隠れています。
それぞれの絵から、
「何をみつけた?」
という発問で授業を展開するのもいいですし、
「現代では見かけないものは?」
なんて発問もいいですよね。何を見つけたか、漠然と聞くよりも、今の生活では考えられない点で資料を読み取らせた方が、生徒にとっては発見しやすいかもしれません。
アプローチとしては
①教師との会話の中で読み取っていく=授業が沸いていろんな声が上がる
②グループワークにし、生徒たちの中で発見させる=協力し合える
③個々に気付かせる=このあとに①②につなげたい
ですね。
私は断然①ですがw
さらに、この弥生時代のイラストにはまだまだ使い道があるのですが、それはまた別のブログで紹介します!
【はじまり】社会の授業は無限大!
こんにちは!そしてはじめまして。
p-red(パレッド)と申します。
中学校社会科教員の経験から、授業展開やアイデアなどをメモ&記録するつもりでこのブログをつづっていこうかと思っています。
公開しなくてもよいかなとも考えましたが、実力はないけどアイデアだけは豊富に出る私の脳の特技を活かして、ちょっとでもみなさんのヒントになればいいなと思い、公開することにしました!
教員としては絶対に知っておかなければならない、授業の手引き「学習指導要領」ですが、私自身、ガッツリ読んで、模範になるような授業をしてきたわけではありません。
私が授業で大切にしてきたことは
「地理・歴史・公民それぞれの学ぶことの『魅力』を伝えること」
「日々の生活と社会科での学びの『結びつき』を気付かせること」
「社会が『ちょっと自信のある科目』になっていること」
です。
それを軸に授業を行ってきたので、ガッツリ分析して授業を展開されている方々からすると、いろいろと足りないこともあるだろうなと思います。
このブログをキッカケに私ももう一度勉強しなおそうかと思っています。。。。。
細かな指導案をブログでつづるというよりは、「こんなの使って授業してみました!」というものの方が多いですので、もし、授業の導入や生徒への関心を高めたいと感じている先生方は参考にしてみてはいかがでしょうか?
もちろん、私の失敗談や実際に授業してみての後日談も書きます!
どうぞ、よろしくお願いしますm(__)m