社会科授業を楽しむ!p-red’s blog

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【教材としての映画 ①】六千人の命のビザ

私はこれで「杉原千畝」を知りました。

2015年 唐沢寿明版 杉原千畝

 

2015年に唐沢寿明主演で公開された映画「杉原千畝」。

この作品も大変素晴らしいのですが、今回はこちらの「杉原千畝」をご紹介します。

2005年 反町隆史版 杉原千畝

2005年。2時間ドラマとして放送されたのがこの作品です。

それまで教科書や資料集のどこにも彼の名前はありませんでした。

終戦60周年を記念したこの放送で、当時高校生だった私は、初めて「杉原千畝」という人物と彼が行った人道的行いを知ることになるのです。

第二次世界大戦ナチスドイツに迫害されたユダヤ人たちを救うべく、独断でビザを発行し続けた人物です

彼は終戦後、外交官としてはあるまじき命令に背いた行為をしたということで、依願免官を余儀なくされます。事実上のクビです。

1968年、当時ビザを提供したユダヤ人が日本に杉原を訪ねてきたことをきっかけに、1985年、イスラエルから表彰を受けたことで彼の素晴らしい行いが「世界で」認められることになります。

日本で名誉が回復したのは2000年のこと。彼が亡くなってから約20年後のことです。当時の外務大臣が奥さんである幸子さんに謝罪。

現在、外務省には杉原の功績を讃えるプレートが飾られています。

この反町版ドラマは、その名誉回復から間もなくして作られた作品ということになるので、なるほど、私の学生時代に話題にならないわけです。

 

現在では、社会の教科書、資料集のみならず英語の教科書、道徳でも題材になっている杉原千畝

今なお、紛争はなくならず、ましてやウクライナ問題が勃発し、避難民が大勢ヨーロッパなど各地に避難している状況の今だからこそ、外務省、組織、国家公務員、命令・指示といった、様々な障壁に対し、個人の判断で行動すべきではない極限の状態で、命を最優先にビザを発行した杉原千畝の生き様や思いを、この題材から学びたいところです。

 

唐沢版、反町版、どちらも見ごたえあります。

社会のみならず、道徳でも絶対によい教材になるはずです。